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浦和地方裁判所 昭和48年(わ)75号 判決 1974年5月01日

本籍

埼玉県草加市高砂二丁目四一七番地

住居

前同市高砂二丁目一四番一二号

歯科医師

株竹寛

昭和四年一月三日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官但木敬一出席のうえ審理を遂げ、次のとおりり判決する。

主文

被告人を懲役四月及び罰金五〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金一万円を一日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。

この裁判の確定した日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(事実)

被公人は、埼玉県草加市高砂二丁目一四番一二号に居住し、同所に株竹歯科医院を置き、歯科医を開業しているものであるが、所得税を免れようと企て、

第一  昭和四四年分の総所得金額が三一、一三三、一六一円で、これに相応する所得税額が一四、六二二、八〇〇円であるにもかかわらず、公表経理上診療収入の一部を除外し、よつて得た資金を用いて架空名義の預金を設定し、架空名義もしくは無記名で有価証券を取得するなどの行為により所得を秘匿したうえ、昭和四五年二月二五日、埼玉県川口市青木町一丁目二一〇番地所在川口税務署において、同税務署長に対し、昭和四四年分の総所得金額として一三、八六〇、五八六円、これに相応する所得税額として四、五七三、四〇〇円と記載した内容虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の行為により所得税一〇、〇四九、四〇〇円を免れ

第二  昭和四五年分の総所得金額が三五、九一六、六五六円で、これに相応する所得税額が一七、二二七、六〇〇円であるにもかかわらず、前記同様の方法で所得を秘匿したうえ、昭和四六年三月一五日、前記川口税務署において、同税務署長に対し、昭和四五年分の総所得金額として一五、八一八、八四七円、これに相応する所得税額として五、三五四、四〇〇円と記載した内容虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の行為により所得税一一、八七三、二〇〇円を免れ

たものである。

(証拠)

一、被告人の

1、当公判廷における供述

2、答申書

3、収税官吏に対する質問てんまつ書一五通

4、検察官に対する供述調書

一、大蔵事務官作成の

1、脱税額計算書二通

2、修正貸借対照表二通

一、大蔵事務官奥野清次作成の昭和四七年六月一六日付証明書

一、株竹恭代、株竹孝子、大和文英(二通)土屋善浩の収税官吏に対する各質問てんまつ書

一、大和文昭、大和文英、遠藤亀鶴雄(二通)橘慶昭、安藤常美、浅見成男、平井信男、山田哲三、林謙一、渋井きよ子(二通)並木健二(二通)渡辺末治、沢正雄、根本雄三、大表省三、木村勇、黒沢春雄、岡野仁右衛門、荒本武義、葛貫栄次郎、増田亀吉、小倉国造、高梨貴美、谷口学、永井直藏、関根喜代子の各答申書

一、石井禧行、真郷元彦、飛田幸重の各供述書

一、新井正明、黒沢春雄の各証明書

一、前川良助作成の「質問書提出について」と題する書面

一、収税官吏作成の

1、確認書三通

2、建物車輛運搬具、器具備品明細書

3、事業主貸勘定調査書類

4、調査書三通

5、人件費源泉所得税調査関係書類

一、押収してある歯科診療録(昭和四八年押第一一八号の一)入金ノート一二冊(前同押号の二、ないし四)一般診療入金メモ一綴(前同押号の五)雑メモ一綴(前同押号の三四)売上明細帳一冊(前同押号の四三)

(適条)

所得税法第二三八条、第一二〇条第一項第三号(懲役刑及び罰金刑の併科)刑法第四五条前段、第四七条本文第一〇条(懲役刑につき判示の第二の罪につききめた刑に加重)第四八条、第一八条、第二五条第一項

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 杉浦龍二郎)

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